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    何を書くか、どう書くか -知的文章の技術-


    板坂元 ITASAKA Gen   日本文学者、評論家
    1922年 中華民国・南京市生まれ。
    1950年 東京大学文学部国文科卒業。東京大学大学院修士課程終了。近世文学専攻。
          武蔵高等学校、成城大学で教鞭を取る。
    1957年 イギリス・ケンブリッジ大学にて、日本語・日本文学を講じる。
    1960年 アメリカ合衆国・ハーバード大学に赴任。
    1985年 日本へ帰国。
          創価大学客員教授、創価女子短期大学教授、創価女子短期大学副学長を務める。
    2004年 逝去。
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    事実に基づく文章を書く時に考える三つのこと

    1. これから書こうとしていることに興味を感じるかどうか。
    2. 自分はどれだけ独自の意見を持っているか。
    3. いま、どれだけ材料を持っているか。 

    P 30

    泥縄式勉強法:自分の知識の棚卸し;記憶の総点検

    この著者は、「いったい自分は何を知っているのか、自分で自分をテストしてみる。もちろん、机からは教科書や辞典類はいっさい遠ざけ、もっぱら鉛筆と消しゴムだけでやっていく」と語り、たとえば日本史の場合、無土器文化、縄文文化、弥生文化と時代順に、必要な用語、当時の社会構造等、自由に書いてみることをすすめる。

    P 33
    <備考・参照>

    清書においてまで、常にテーマへの焦点を絞り続ける

    テーマをできるだけ絞っていくと、その文章で何を読み手に伝えたいかが、自分でもハッキリと認識できるし、読み手にも確実にそれが伝わることになる。
    テーマを絞るという作業は「何を書くか」を決めるときにだけ行なわれるのではない。データを集めているときでも、実際に文章を書いているときでも、そして清書をしているときでも、つねにテーマを絞る作業を忘れてはならない。

    P 39

    「マーフィーの法則」の起源

    1949年、カリフォルニア州のエドワード空軍基地で研究に従事していたエド・マーフィー大尉が、ある日、配線の間違いから小さな実験に失敗したときに発した言葉、これが、偶然に口から口に伝えられ、いろいろつけたり●●●●までできて居間のようになったのだという。

    P 45

    「失敗可能性」の少ない仕事・生活のための方法

    コツは、集中的に徹夜をしたり、一日十何時間といったことはしないで、一定時間ずつ毎日机に向かうことだ。私だけでなく、周囲を見回してみて、イキの長い仕事をしている人は、ほとんどそういった規則正しい生活を送っている。

    P 47

    調子を整えるための愛読書を常備する

    日本語では『福翁自伝』、英語ではジョージ・オーウェルの著作集といった本。これは、何かを書くときのウォームアップ用で、疲れたとき、書く気がしないときに取り出して読むためのもの。

    後に、非常に読みやすい文章の例として出てくるが、安岡章太郎の本を読むことがある。とくに文脈が乱れがちのときなどには、ピッタリだ。

    いま私はセオドール・ホワイトの『歴史を求めて』という本を手許において読んでいる。この本については第二章で触れるが、私は教科書のつもりで、こういう本を繰り返し読むことにしている。そして、そうすることが頭のどこかで書くための栄養になっているのだろうと思う。

    P 50 抜粋
    <備考・参照>





    マーケット・リサーチ:読み手の性格を考え、引用文を用いる方法

    読み手が感激屋さんや学究肌のときは、東西の古今の名セリフの中から、調子のよいものを選んで、クライマックスに「誰それいわく」として出す。

    学究肌の人ならマックス・ウェーバーとか、産業連関表で有名な経済学者レオンチェフ、日本人では柳田国男や和辻哲郎に弱いだろうし、感激屋さんならチャーチル、孟子、太宰治、徳川家康でもピッタリの文句が見つかろう、という具合に、読み手をよく考えて、作戦を立てるわけである。

    P 55

    ライアンのルール:「質問の60パーセントの答えがわかるまで、インタビューをしてはいけない」 by ジャーナリスト;コーネリアス・ライアン

    誰かをインタビューするとしよう。その際、前もってたくさんの質問を用意するが、その質問のうち60パーセントは、すでに調べがついて、聞かなくても答えがわかってしまっているものでなければならない。答えがわかってしまえば、質問するまでもないではないか、ということになるけれども、それくらい予備知識がなければ、インタビューは成功しない。これが「ライアンのルール」だ。

    P 64

    映画俳優ジェームズ・ディーンのインタビューの受け方

    ディーンという人は、インタビューの申し込みを受けると、なんと相手の記者がどういう人物で、どういうものを書いているかを、前もって調べていたという。つまり、その記者の好みに合わせて、自分のイメージづくりを、ちゃんと計算したうえでインタビューにのぞんでいた。即門即答でなく、PRについて細かに神経を使っていたという点からすると、彼の芸もちゃんと計算のうえで出来上がっていたものなのだろう。あるいは、それだけファンに対するサービスを怠らなかった、と言い直してもよかろう。

    P 67
    <備考・参照>

    【ジェームズ・バイロン・ディーン:James Byron Dean】
    (1931年02月08日 ~ 1955年09月30日)
    アメリカの俳優。ジミー・ディーン(Jimmy Dean)とも呼ばれる。

    アメリカ合衆国インディアナ州マリオンで生まれる。
    高校時代から演劇に興味を持つ。
    カリフォルニア大学ロサンゼルス校の演劇科で学んだ。
    (UCLA:University of California, Los Angeles)
    ポルシェ・550/1500RSを運転中に接触事故に遭い他界。

    【主要作品】
    『エデンの東』(East of Eden:1955年)
    『理由なき反抗』(Rebel Without a Cause:1955年)
    『ジャイアンツ』(Giant:1956年)

    ロジャース法:心理学者カール・ロジャース提唱;円滑なコミュニケーションのための方法:(対立的ではなく、建設的に)

    1. 論点は手短に客観的にまとめる。
    2. この論点に対する相手の意見を、感情的にならずに、ハッキリと要約する。
    3. 同じく自分の意見を冷静に、ハッキリと述べる。
    4.  2. と 3. との共通点を見つけて、まとめる。
    5. 共通点をもとにして、両方が心理的に傷つかないように、解決点を見出すように努力する。
    「誰が読むか」から始まって、「相手が何をどれだけ知りたがっているか」に進んだ文章の書き方は、ここでもう一歩前進して、「相手が自分とどれだけ共通した意見・知識を持っているか」から「相手と自分と食いちがった部分を、どうわかってもらえるか」というところまで深入りをするわけである。

    P 71

    誠実で正確な信頼のおける文章を努力し演出する

    つまり、「この人のいうことはマチガイがなくて、信じることができる」という感じを読み手に植えつけることだ。もちろん、誠実とか正確は、見せかけでなく、書く人の心の持ちようの問題ではある。けれども、「自分さえ誠実にやっていれば、誰かがいつかわかってくれる」というのでは、今の情報社会では通じにくくなっている。

    いや、今だけではない。むかしの万葉集や古今集のころだって、恋歌の上手な人は、相手を信じさせる力に富んでいた。

    P 79

    アーネスト・ヘミングウェーの文章の研ぎ澄まし方:『武器よさらば』の最後の頁は39回の書き直し

    アーネスト・ヘミングウェーは、「私は書いたものを毎日読み返して書き直す。さらに作品が出来上がったら、そこでまた手を入れ、タイプライターで清書を打ち上げてからも、また校正刷になってもからも書き直しをするのが普通です」と述べたことがある。

    P 83

    文章を書くための準備運動;ノンストップ法: 5~15分の時間制限で主題を決めて、休みなく書き続ける

    とにかく、単語だけでもよい、文の断片でもよい、思いつくことを、字のカッコウなど構わないで書き進むことだ。
    そして、ノンストップ法という名のとおり、時間いっぱい絶対にストップしてはならない。多分、はじめての人は五分くらいで切り上げたほうがよいと思うが、時間が来たら、これを読み返してみる。思いもしなかったアイディアが書きつけてあったりして、かならず収穫があるものだ。そこまで行かなくても、それまで気のつかなかった用語や言い回しを発見できるはずである。

    P 96

    休息のためのRR法(Relaxation Response):ハーバード大学のハーバート・ベンソン博士が考案したストレス解消法

    やり方は五段階に分かれ、誰にでも簡単にできる。
    1. 静かなところで、楽に座る。
    2. 眼をつぶる。
    3. 筋肉をリラックスさせる(これは、指先、足先からはじめて、全身の筋肉を緊張させて、身体を硬直状態にしてから自然に力を抜くようにするとよい)。
    4. 吸う息と吐く息に注意を集中する(呼吸は、やや深呼吸のようになる)。
    5. 雑念を忘れて、心を平静にする(ベンソン博士は、簡単な、たとえば「ひとーつ」といった語を、小さい声で繰り返せば、そういう状態になりやすい、とすすめている)。
    以上を、文章を書く前や、頭が疲れて来たとき、あるいは緊張しすぎて神経がイラだつときに実行すればよい。ベンソン博士は、これを1日に2回、10分から20分やれば、効果があると言っている。実験の結果、血液中の乳酸が減少し、かつアルファ脳波が増加する、のだそうである。

    P 99

    原子物理学者オッペンハイマーの「理論的発想及び発見時に関する言葉

    「理論的な発見というものは、外からは、その人が怠けているように見えるときが、いちばん生まれやすい」ということを言っている。

    P 100

    米国作家マージョリー・ホームズ(Marjorie Holmes)の発想法

    ホームズが大学時代に美術の先生から教わった方法で、床に入る前に絵画化デザインの本を見てから眠るのだという。そうすると、眠っている間に頭の中に新しく素晴らしい絵が湧き出てくる。それが創造のもとになる。ホームズはこの方法でいつも新しいアイディアを得ているのだそうだ。

    P 103

    三点法:データは三つの情報源から得る

    普通、資料は三つの情報源から得なければならない。どんなに信用できると思っても、一つの情報源だけでは危ない。とくに、主観的判断のおこりやすい場合は、三ヵ所からデータを得れられなければ、使うべきではない。これが三点法である。

    P 125

    文学理論学者ケネス・バーク(Kenneth Burke)のペンタッド法(五点チェック法):データを評価するための方法

    1. 誰が書いたか。たとえば原子力発電問題について電力会社の人が書いたら、あるいは発電所付近の住民が書いたら、と考えれば、書き手のチェックの必要性がわかる。
    2.  どこから出版されたか。新聞ならそのデータが全国紙に出たものと、業界紙に出たものもちがい。総合雑誌と週刊誌でも評価がちがってくる。
    3. どこで、いつ出たか(「どこ」と「いつ」で二点になる)。自然科学のデータなら、二〇年前のものは、まず役に立たないだろう。歴史の文献でも、第二次大戦下にドイツで出たものといえば、いちおう片寄りがあると見てよかろう。
    4. 何の目的で出された情報か。もし薬品会社が出した医学リポートなら、目的は医療そのものでなく、製品を売ることにある。著者の目的次第では、情報も価値が下がる。
    慣れてくれば、ほんの扉を見ただけで、「ああ、これなら大丈夫」とか「危ないぞ」とか、五つを指折りかぞえなくても、一目で判定できる。

    P 127

    ビー・スペシフィック(be specific):もっと具体的に例を挙げて説明しなさい

    フランスの啓蒙主義思想家ボルテールも、自分の書いた文章を自家のコックに読ませて、わかるかどうか試したという。啓蒙家の福沢諭吉とボルテールが、同じようなことを実行していたのは、さすがだという思いがする。

    扇谷正造は同様なことを『現代ジャーナリスム入門』で、つぎのように言っている。

    時間があったら、細君なり恋人なりに原稿を読んで聞かせるがよい。彼女らは、君の記事の最も熱心な読者だ。彼女らがわからないといったら、何度でも書き直したまえ。

    (角川文庫・二〇五ページ)
    これも、偶然の一致ながら、文章を書くことの秘密を言い当てているといってよかろう。

    P 149
    <備考・参照>



    「書き出し」、「リード書き」の手本となる『巻頭随筆』

    参考までによい「書き出し」を身につけるための手本となる本を一冊だけ挙げると文春文庫の『巻頭随筆』。この本は、『文藝春秋』の関東の随筆の中から、良いものを選んだもので、すばらしい随筆が並んでいる。どのリードも、読みながらタメ息が出るほど立派なものが多い。勉強のためにぜひ一冊、身辺に置いて愛読してほしい。

    P 184
    <備考・参照>

    再び始め易くする方法:キリの悪いところで切り上げる;途中で止めて、思考を継続させる

    つぎの日に頭が働きはじめるのは、書きさしがうまく行った日だ。何でもないことのようだが、大事なコツとしておすすめする。
    また、それだけではなく、「ついでだから」と時間延長をするのも、規則正しい生活を乱すことになる。長丁場では、規則正しい生活というのが絶対条件なのだから、どんなに脂が乗っているときでも、時間になったら切り上げるクセをつけておいたほうがよい。

    P 220
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    1981年東京生まれ。静岡育ち。

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