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    自動車の社会的費用


    宇沢 弘文 UZAWA Hirobumi      東京大学名誉教授 専攻/経済学
    1928年 鳥取県米子市生まれ
    1948年 第一高等学校理科乙類卒業
    1951年 東京大学理学部数学科卒業
    1956年 スタンフォード大学経済学部研究員
    1958年 スタンフォード大学経済学部助手
    1959年 スタンフォード大学経済学部助教授
    1960年 カリフォルニア大学バークレー校経済学部教授
    1961年 スタンフォード大学経済学部准教授
    1964年 シカゴ大学経済学部教授
    1968年 東京大学経済学部助教授
    1969年 東京大学経済学部教授
    1980年 東京大学経済学部長
    1989年 東京大学を定年退官、東京大学名誉教授。新潟大学経済学部教授に就任
    1994年 新潟大学退官、中央大学経済学部教授
    1999年 中央大学経済学部教授定年退職、中央大学経済研究所専任研究員、国際連合大学高等研究所特任教授
    2000年 中央大学研究開発機構教授
    2003年 同志社大学社会的共通資本研究センター所長
    2009年 慶友国際医療研究所社会的共通資本研究室長
    2014年 肺炎のため逝去
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    自動車と犯罪

    さらに指摘しなければならないのは、自動車の普及にともなう交通犯罪の増加である。
    <中略>
    そのうえ、殺人・強盗などの兇悪犯罪もまた自動車を利用してはじめて可能となるような性格のものがふえてきている。

    P 9

    観光道路の矛盾

    もともと観光道路は自然の美しさを求めて建設されるものであるが、そのような自然は観光道路の建設によって失われてゆく。観光道路と自然の美しさとは根本的に矛盾するものだからである。

    P 9

    自動車の社会的費用と新古典派経済学の問題点:前提となる理論的フレームワーク

    新古典派の理論は、厳密に純粋な意味における分権的市場経済制度にのみ適用され、そこでは生産手段の私有制が基本的な前提条件となっているということである。したがって、自動車の問題を考えるときにまず取り上げられるべき道路という社会的な資源については、その役割を十分に解明しえないような理論的フレームワークをもっている。

    P 17

    自動車の社会的費用と新古典派経済学の問題点:人間の捉え方

    新古典派理論では人間をたんに労働を提供する生産要素として捉えるという面が強調され、社会的・文化的・歴史的な存在であるという面が捨象されている、ということである。したがって、自動車通行によって基本的な生活が侵害され、市民的自由が収奪されている、という自動車の社会的費用のもっとも重要な側面に十分な光を当てることができない。

    P 17

    社会的費用の内部化

    社会的費用の内部化は、結局、歩行、健康、住居などにかんする市民の基本的権利を侵害しないような構造をもつ道路を建設し、自動車の通行は原則としてそのような道路にだけ認め、そのために必要な道路の建設・維持費は適当な方法で、自動車通行者に賦課することによって、はじめて実現する。

    P 20

    自動車と大気汚染

    大気汚染の問題はとくに1960年代を通じて深刻なものとなってきたが、1970年、大気清浄法の改正がなされた。自動車排気ガスにつてい、一酸化炭素と炭化水素とは1975年から、また窒素酸化物は1976年から、それぞれ1970年型の自動車が排出する量の10%以下に規則しようというものである。この法律は、提案者エドモンド・マスキー上院議員に因んでマスキー法と呼ばれているが、自動車排気ガスによる大気汚染がいかに市民の生活に被害を与えてきたかということを如実に示すものである。

    P 43

    外部不経済:external dis-economies

    ある経済活動が、第三者あるいは社会全体に対して、直接的あるいは間接的に影響を及ぼし、さまざまなかたちでの被害を与えるとき、外部不経済(external dis-economies)が発生しているという。自動車通行にかぎらず、一般に公害、環境破壊の現象を経済学的にとらえるとき、この外部不経済という概念によって整理される。

    P 79

    制度的前提の特徴:生産手段の私有制

    新古典派理論は、純粋な分権的市場制度を通じて資源分配がおこなわれているような国民経済を主な分析対象としている。したがって、新古典派理論の前提はこのような市場経済の制度的前提と密接なかかわりをもつものである。

    まず第一にあげなければならない制度的特徴は、生産手段の私有制である。すなわち、生産、消費という経済活動にさいして必要とされるような希少資源はすべて個々の経済主体に分属され、各経済主体はそれぞれ所有する希少資源を自由に使用することができるという前提である。

    P 103

    制度的前提の特徴:報酬

    新古典派理論の第二の前提は報酬にかんするものである。すなわち、各経済主体は、それぞれ自ら所有する生産要素を市場に供給して、市場価格によって評価された額を所得として得るという前提である。生産手段の私有制とこの報酬制度とは、市場機構を通ずる資源配分が効果的なものとなるという命題が妥当するために不可欠な前提条件である。

    P 105

    制度的前提の特徴:個人への分配可能性

    新古典派理論の第三の前提としてあげなければならないのは、個人への分解可能性である。これはつぎのようなことを意味する。すなわち経済循環のプロセスの分析が、個々の個人の行動を分析し、それを集計することによって可能になる。しかも、個々の個人は合理的に選択し、行動し、その行動基準は、経済循環のプロセスとは無関係にアプリオリに与えられるものであるという前提である。

    P 106
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    Author:bookback
    1981年東京生まれ。静岡育ち。

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